ブロックチェーン技術で新しい電力取引!VPPのメリットとは

ビットコインや仮想通貨の世界を支えているブロックチェーン技術が、最近では電力の分野でも取り入れられ注目を集めています。

東京電力や関西電力などもブロックチェーンを活用した海外のベンチャー企業に投資したり、実証実験を行っています。

私たちの生活に欠かせない電気は、ブロックチェーンやVPPの開発によりどう変わるのでしょうか。

1. ブロックチェーン技術が電力分野も変える!今注目のVPPとは?

仮想通貨やビットコインの話題が毎日のように聞こえてくる現在、ブロックチェーンの技術は仮想通貨だけにとどまらず、電力の分野も変えようとしているのをご存知でしょうか。

ブロックチェーンとは分散型台帳とも呼ばれていて、個人の送金履歴や詳細が暗号化されブロックとなり、世界中のネットワーク上で管理される仕組みになっています。

新しいブロックができると前のブロックとチェーンでつながれていくのですが、世界中の人が管理し合っていることから改ざんは不可能だとされているのです。

では、このブロックチェーンがどのように電力の分野で活躍するのか、またVPPとは何かを解説していきたいと思います。

1-1. VPP(バーチャル・パワー・プラント)とは?

VPPとは、バーチャル・パワー・プラントの略で、仮想発電所という意味を持ちます。

仮想の発電所と言われてもよくわからない気がしますが、VPPは発電所から供給される電気を消費するだけだった、これまでの電気のあり方を変えるものなのです。

日本は石油や天然ガスなどの資源が少なく、火力発電所や原子力発電など大規模場な施設で電気を作っていますが、VPPは一般家庭やビル、工場など身近な場所で電気を作りそれらを集めてひとつの発電所として稼働します。

どのようにしてVPPを作るのかというと、主に太陽光発電や地熱発電、風力発電などの再生可能エネルギーを使います。

ひとつひとつの設備で得られるエネルギーは小さいとしても、町中のあちこちに点在している施設の発電量を合わせれば大きなものとなり、需要が少ない時は蓄電池に貯めておくことで無駄になりません。

そんな電気の需要と供給のバランスをとるには遠隔操作が必要となりますが、指令を出すのは人口知能であるAIが行い、IoT端末がついた蓄電池を選びます。

IoTとはモノのインターネット(Internet of Things)という意味で、モノとインターネットがつながった世界のことで、お互い制御する仕組みを持っていることから蓄電池の群制御、⾃動制御などが可能になるのです。

そしてブロックチェーン技術が加わることで、地域のエネルギー生産量や利用量、天気予報や関連するデータがオープンになり、近隣の住民同士情報を交換することができます。

1-2. 経済産業省によるVPP事業

経済産業省によるVPP事業としては、東日本大震災のあと、従来の大規模集中電源に依存した硬直的なエネルギーシステムを脱却するとともに、急速に普及している再生可能エネルギーを安全的かつ有効に活用することとしています。

また、平成28年から5年間の事業を通して50MW以上のVPPの制御技術の確立を目指し、再生可能エネルギーの導入拡大や更なる省エネルギー・電力の負担平準化等を推進することを成果目標としているようです。

2. ブロックチェーン技術によるVPP(仮想発電所)のメリットと将来性

ブロックチェーン技術によるVPP(仮想発電所)のメリットとしては、太陽発電などの再生可能エネルギーを利用して発電することから二酸化炭素を排出せず、環境にやさしく地球温暖化を防ぐことができます。

また、地域の発電所となるVPPができればこれまでのような大規模な発電所を作る必要がなく、遠く離れた発電所から送電線をひいてくる必要がないのでコストがかからず、電気代が安くなる可能性があります。

大規模な発電所に頼っていた場合は、地震などの災害で発電所が稼働しなくなってしまうと広い範囲で電気が使えなくなってしまったり、電気代が高くなるなどの可能性がありますが、VPPなら地域の発電所となっていることから全国的な被害にはなりにくいです。

日照時間や風量など、人の手によって操作できない部分もある再生可能エネルギーですが、AIやIoT、ブロックチェーン技術により今後進化が望めるVPPは、将来性があり全国の電力会社も注目しています。

3. 各電力会社のブロックチェーンやVPP事業の動向

各電力会社のブロックチェーンやVPP事業の動向はどのようなものなのか、調べた結果を紹介します。

3-1. 東京電力

東京電力ホールディングスは、ブロックチェーンを活用した海外のベンチャー企業への投資を始めています。

2017年7月、東京電力はドイツの大手電力会社であるイノジー社と共に事業を立ち上げ、電力の消費者とプロシューマー(太陽光発電など、自身で発電した電気を消費し、余剰分は売電する生産消費者)に対し、電力を直接取引するプラットフォームを構築・提供するとしました。

翌年の2018年1月には、ロンドンに本社がある小規模ながらもイギリス政府を顧客に持つなど、ブロックチェーンを活用したエネルギー取引で注目を集めている、エレクトロン社にも出資をしています。

3-2. 中部電力

2018年3月、愛知県に本社を置く中部電力株式会社は、福岡県の株式会社Nayutaと東京都のインフォテリア株式会社と共に、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車の充電履歴をブロックチェーンで管理する技術の実証実験を実施することを決めました。

この実証実験では、Nayutaが開発したブロックチェーンに対応した充電用コンセントと、インフォテリアが開発したスマートフォンアプリをインターネットやBluetoothでつなぎ、「いつ」「誰が」充電したのかという電気自動等の充電履歴をブロックチェーンに記録して、セキュリティを担保としながら管理する技術を確認するとしています。

3-3. 関西電力

2018年4月、関西電力はブロックチェーン技術の普及が進むことを予想し、この電力直接取引においても、ブロックチェーン技術を活用した電力会社を介さない取引などが考えられると発表しました。

そこで、オーストラリアなどにおいてブロックチェーン技術を活用した電力直接取引の実証研究の実績があるパワーレッジャー社と共同で実証研究を行うことを決めました。

3-4. 九州電力

ソフトバンクグループの子会社であるSBエナジーは、九州の各県の家庭に対して約1000台の蓄電池を設置し、九州電力による太陽光発電を止める指示を回避するための遠制御実験を行っています。
九州電力のホームページでは、2016年4月からの壱岐における再生可能エネルギーの出力制御の指示に関する報告を見ることができます。

4. まとめ

ブロックチェーンやAI、IoTの技術が取り入れられたVPPは、これまで一方型だった電気のシステムを分散化すことになり、実現すれば小売業者を通すことなく当事者間で取引することができます。

しかしブロックチェーンの安全性が絶対的なものなのかどうか、システムに問題が起きて機能不全になってしまったらどうなるのかなど疑問もあります。

これまで長い間変わることがなかった電気の基幹が、ブロックチェーンの技術によって変わるまでにはまだ時間がかかるのかもしれません。

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