ブロックチェーンを利用したファイル共有を可能にする分散型ストレージサービスとは?

ファイル共有を可能にするストレージサービスとしては、グーグルドライブやドロップボックスが有名ですが、ブロックチェーンの技術を用いて、ピアツーピアプロトコル(P2P)ネットワークでつながったノード(コンピュータ)とノードの間でファイルを共有管理するというサービスが提供されています。

こうした新しい分散型ストレージサービスの仕組みと、メリット・デメリットを紹介します。

1. ブロックチェーン上でファイル共有ができる仕組み

ファイル共有ができる分散型ストレージサービスの仕組みを、すでにサービスを開始している”Storj”(ストレージと呼ばれる)を例として取り上げ、その行程を紹介します。

①”MetaDisk”という専用アプリで、自分のコンピュータ上で、データを32MBずつに分割する
②分割されたデータ(Shardと呼ばれる)それぞれが、データにアクセスするために必要な秘密鍵で、暗号化される
③暗号化された後、ネットワーク上にアップリードできる
④ピアツーピアプロトコル(P2P)ネットワークでつながったノード(コンピュータ)とノードの間でデータは共有管理される

簡単に説明すると以上の行程で、データを分散型ストレージ上で共有できます。行程を理解していると、このサービスのメリットも理解しやすくなります。

2. ブロックチェーン上でファイル共有するメリット

ブロックチェーン上でファイルを共有できる分散型ストレージサービスにはいくつかのメリットがあります。5つのメリットを紹介します。

①データが安全に守られる
グーグルドライブやドロップボックスなどの一般的な中央集権型のストレージサービスの場合、中央のサーバーにデータが保管されていますが、ハッキングなどの何らかの問題が生じてそこに保管されているデータが改ざんされたり、紛失したりする可能性があります。

しかし分散型ストレージサービスでは、データがそれぞれのノードで、暗号化されて保管されています。すべてのノードがハッキングされて、ファイルが改ざんされることはほぼ不可能ですから、データが安全に守られているというメリットがあります。
さらに、データは、秘密鍵で暗号化されているので、秘密鍵を知っているユーザーのみが閲覧、ダウンロードできるので、その点でも安全と言えます。

②システムのダウンがない
中央にサーバーを持たないので、サーバーがダウンしてデータがダウンロードできないということはありません。

③冗長性が保証されている(予備システムが準備されている)
ピアツーピアプロトコル(P2P)ネットワークでつながったノードのひとつがシャットダウンしている場合もあります。そうした場合は保存したデータを復元できなくなる心配がありますが、そうした場合に備えて、”Storj”では、暗号化されて分割されたデータ(Shard)の複製を、P2Pネットワーク上の他のノードに保管しておくというシステムを採用しています。

ひとつのノードがシャットダウンしていても、同じ内容のShardを保存した別のノードからさらに別のノードにShardをコピーすることによって、Shardの冗長性が保証されています。

④利用した分だけ払うシステム
ドロップボックスを個人で使う場合は、2GBまでは無料で、1,200円を毎月払えば1TBまでストレージを使用できます。ビジネスで使う場合、月額で、5 ユーザー 7,500円で、1ユーザーあたり1TBまで使用できます。

”Storj”の場合は、1GBごとに0.015ドルで、日本円で1.65円程度と価格を説明しています。定額料金ではなく、使いたい分だけ払うという料金システムです。もちろんSTORJ(ストレージ)という専用トークンで支払います。
”Storj”の場合は、個人で利用する場合、保存したいデータが膨大でなければ、ドロップボックスやグーグルドライブの方が安い場合があります。

しかし、大きな会社などの場合は、保存したいデータも膨大になりますから、分散型ストレージサービスを利用する方がコストが削減できるというメリットがあります。

⑤お金を稼げる
”Storj”の場合は、自分のコンピューターに空いているインターネット帯域とハードディスクスペースがあれば、それをネットワークの一部として貸し出せば報酬がもらえるというシステムがあります。
こうしたメリットを考えると、安全にデータを長期的に保存できるサービスであることが理解できます。

3. ブロックチェーン上でファイル共有するデメリット

ブロックチェーン上でファイルを管理するサービスを提供している分散型ストレージサービスの持つデメリットも、もちろんあります。

●競争相手が多い
グーグルドライブやドロップボックスなどの既存のストレージサービスだけでなく、ブロックチェーン技術を利用した分散型ストレージサービスを提供する企業も増える傾向にあります。他のサービスよりもどこが優れているのかなどの特徴を打ち出して、差別化を図らなければ、サービスの利用者が減り、トークンを保有している人に価値を生み出さないという結果を招く可能性があります。

●コインがまだ日本の取引所では扱われていない
”Storj”や”Sia”といった分散型ストレージサービスを提供しているプラットフォームがありますが、このサービスを利用するコイン、STORJ(ストレージ)やSiacoin(シアコイン)は日本の取引所では今現在取り扱われていません。ですから日本の取引所でビットコインを購入してから、海外の取引所でこのコインを買うという手間がかかるというデメリットもあります。

4. ブロックチェーンを使ったファイル共有サービス

ブロックチェーン上でファイルを管理できるという分散型ストレージサービスを提供しているプラットフォーム、あるいは、これからそうしたサービスを提供しようというものがいくつかあります。

コイン 特徴
Storj STORJ(ストレージ) 分散型ストレージサービスを提供

コンピュータの空いているストレージを貸し出して報酬を得られる

Sia Siacoin(シアコイン) 分散型ストレージサービスを提供

コンピュータの空いているストレージを貸し出して報酬を得られる

Filecoin Filecoin(フィルコイン) ICO歴代調達資産2位という話題のサービス

フィルコインは、ドル、ビットコイン、イーサリアムなどに交換可能

ウェブやアプリなどでの実用はまだ

Maidasafe Maidsafecoin(メイドセーフコイン) ハードディスクスペースだけでなくCPUや帯域幅、メモリーを共有できるので、単なるファイルの共有だけでなくアプリケーションやシステムの構築が可能

実用化はまだ行われていない

5. まとめ

ファイル共有を可能にする分散型ストレージサービスの仕組み、メリット・デメリットについて紹介しました。データをブロックチェーン上で安全に保存できるということも分かりました。使いたいストレージ容量の分だけ支払うというシステムなので、企業や行政などが今後こうした分散型ストレージサービスを利用すると経費の削減にもつながるでしょう。

今現在は、グーグルドライブやドロップボックスなどのサービスが一般的です。
しかし、コンピュータで使われていないハードディスクスペースがあれば、分散型ストレージサービスを支えるノードのひとつになれて収入が発生するといった情報や、分散型ストレージサービスを利用するメリットが広く認知されるようになると、将来的にはこのサービスが、ストレージサービス自体の在り方を変えるようになるかもしれません。

将来の需要を見越して、こうしたプラットフォームで利用できるコインを今のうちから持っておくこともできるでしょう。

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